古家付き土地で売るか、更地にして売るか。解体を頼む前に考えたいこと

古い住宅の室内を表すイメージ(AI生成) 相続した家の売却
古い住宅のイメージ(AI生成。実在の物件・施工事例ではありません)

親から受け継いだ実家が古くなり、もう誰も住む予定がない。建物には値段が付かないだろうから、取り壊して土地だけにした方が高く売れるのではないか。

そう考えて、解体の見積もりを取り始めた方もいると思います。

ただ、解体を頼む前に、その家を残したまま売る場合の条件も確かめてください。更地にすると売却価格が上がる場合でも、解体費用を差し引くと手元に残るお金が減ることがあります。道路の条件によっては、今ある家を壊した後に、同じように家を建てられないこともあります。

古い家を残すかどうかは、見た目だけでは決められません。建物を使う余地、建て替えの条件、解体にかかる費用を確認してからでも、売り方は選べます。

古家付きで売る、更地にして売る。違いは費用と引渡し条件

「古家付き土地」は、古い建物が残る土地として売るときの呼び方です。その言葉だけで、建物の状態や、誰が解体費を負担するかまで決まるわけではありません。

まずは、次の3つを分けて考えてみましょう。

売り方売主が先に負担すること判断するポイント
建物を残して売る解体費を先払いせずに検討できる建物の利用や、買主側での解体を前提に、どの条件で買ってもらえるか
買主が決まってから、更地にして引き渡す契約で決めた解体費と工事手配工事の範囲、追加費用、代金の支払時期、引渡しまでの日程を合意できるか
先に解体してから売り出す買主が決まる前の解体費費用をかけるだけの売却見通しがあるか。売却までの管理や税負担も持てるか

建物を残す場合でも、家の中の荷物までそのまま引き渡せるとは限りません。建物・設備・荷物をそれぞれどう扱うかは、購入条件として確認します。

荷物が残った実家を、そのまま売る場合の考え方

解体費用の相場は、構造と坪数でどのくらい違う?

解体を考えるなら、まず自分の家の構造と延べ床面積を確認してみましょう。延べ床面積は、各階の床面積を合計したものです。土地の広さとは違い、1階15坪・2階15坪なら合計30坪になります。

一般社団法人あんしん解体業者認定協会が、東京都内で実際に行われた工事に基づいて公表している単価は、次のとおりです。

建物の構造公表されている坪単価30坪に単純換算した額40坪に単純換算した額
木造39,355円/坪約118万円約157万円
鉄骨造54,956円/坪約165万円約220万円
鉄筋コンクリート造(RC造)84,966円/坪約255万円約340万円

出典:解体無料見積ガイド「東京都の解体費用相場」(2026年10月5日確認)。30坪・40坪の欄は公表単価から計算した参考値で、個別物件の見積額ではありません。出典の相場表には税込・税抜と付帯工事の範囲が明示されていないため、支払総額としては使わず、見積書で条件を確かめてください。

同じ資料でも、木造の坪単価には24,000〜70,000円の幅があります。30坪で単純換算すると72万〜210万円です。重機が入りやすい家と、狭い路地の奥で手作業や搬出に手間がかかる家では、同じ坪数でも金額が変わります。

実際の見積もりでは、本体114万円が総額158万円になる例も

坪単価だけを見ると、建物以外の費用を見落としがちです。株式会社クラッソーネが公開する東京都の木造住宅の見積例には、次の数字があります。

公開見積例建物の解体部分(税抜)付帯工事等を含む見積総額(税抜)
世田谷区・木造2階建て・38坪114万円158万500円
板橋区・木造平屋・15坪45万円165万円

世田谷区の例は、建物114万円に、養生16万円、土間コンクリート撤去12万円、植木の抜根12万円、その他撤去5万円を加え、9,500円の値引き後に158万500円となっています。

板橋区の例では、手運搬60万円、残ったゴミの処分24万円などが加わっています。家が小さくても、解体費の総額まで安くなるとは限らないことが分かります。

出典:クラッソーネ「東京都・木造住宅の解体費用相場」の公開見積例(2026年10月5日確認)。見積時期は掲載箇所で確認できないため、現在この価格で依頼できるという案内ではありません。retroの施工実績ではなく、本体と総額の違いを知るための他社公開事例です。

更地にして高く売れても、解体費を引いて比べる

上の世田谷区の見積総額158万500円に消費税10%を加えると、173万8,550円、概算で約174万円です。この金額を費用の参考にして、売却価格との差を考えてみます。

解体費は公開見積例をもとにしていますが、以下の売却価格は計算方法を説明するための仮定です。この物件が実際に売れた価格や、retroの査定結果ではありません。

比較する条件売却価格差し引く解体費(税込概算)解体費を引いた額
建物を残して売る800万円なし800万円
更地にして150万円高く売る950万円174万円776万円
更地にして200万円高く売る1,000万円174万円826万円

この例では、150万円高く売れても解体費を回収できず、建物を残す場合より24万円少なくなります。200万円高く売れれば、解体費を引いた段階で26万円多くなります。

つまり、この条件なら、更地にすることで少なくとも約174万円高く売れる見通しがあるかが、最初の比較になります。実際には、仲介手数料、登記費用、税金、売れるまでの維持費なども違うため、表の金額が最終的な手取りになるわけではありません。

解体費の相場を知ったうえで、その家の工事見積もりと、建物を残す場合・更地にする場合の売却見通しを並べます。土地の立地や道路の条件によって、工事費をかける意味があるかは変わります。

解体の見積もりは、建物以外の範囲も確認する

解体費は、建物の広さや構造だけでは決まりません。重機が入れるか、家の中に何が残っているか、塀や庭木を撤去するかによっても工事の内容が変わります。

見積もりを取るときは、解体業者に、建物本体のほか、家財の処分、庭木・塀・物置、地中の障害物、整地をどこまで含むか説明してもらってください。追加費用が発生する条件も、契約前に確認します。

古い建物では、石綿(アスベスト)の調査や、使用が確認された場合の対応も関係します。厚生労働省は、建物の解体・改修工事について、規模にかかわらず事前調査が必要と案内しています。見積もりに調査と必要な対応をどう含めているか、依頼先に確認してください。厚生労働省の案内

道路が狭い家は、壊す前に建て替えの条件を調べる

今、家が建っているからといって、取り壊した後にも新しい家を建てられるとは限りません。

例えば、敷地と道路との接し方などによって、建て替えに制限がある場合があります。江戸川区の案内でも、建築基準法上の道路に原則として2メートル以上接していない敷地では建築できず、別途許可などの検討が必要な場合があると説明しています。判断は物件ごとの条件によります。江戸川区の接道の案内

道が狭い、路地の奥にある、昔「建て替えできない」と言われたことがある。そのような家は、まずretroへの売却相談で、その事情をお知らせください。道路や法令上の条件を調べることが、建物を残して使う余地や買取条件を考える出発点になります。

建築できるかどうかの制度上の確認先は、家のある市区町村などの建築指導担当窓口です。必要に応じて建築士にも確認します。最初から所有者の方が結論を出しておく必要はありません。

retro不動産が査定で調べること

更地にした後は、土地の税負担も確認する

住宅がある土地には、一定の条件で固定資産税などの負担を抑える住宅用地の特例があります。家を取り壊すと、この特例の対象から外れることがあります。

東京都主税局は、1月1日現在に住宅がない土地は原則として住宅用地にならず、建て替えなど一定の要件を満たす場合には例外があると説明しています。税額が必ず何倍になる、と一律には言えません。東京都主税局の案内

解体を具体的に考える段階で、納税通知書を手元に置き、物件所在地の固定資産税担当窓口へ、解体後の扱いを確認してください。東京23区内の土地は、都税事務所が窓口です。

一方、税金を抑えるために、危険な建物を放置してよいわけではありません。倒壊や部材の落下などのおそれがある場合は、安全確保を優先し、市区町村の空き家相談窓口や建築の専門業者に相談してください。危険な室内へ自分で入る必要はありません。

「壊すしかない」と決める前に、そのままの家を見せてください

建物が古くても、使える部分や、買主側で手を入れる余地があるかもしれません。反対に、安全面や利用計画から、解体を前提に検討する方がよい物件もあります。

retro不動産では、東京・神奈川・埼玉・千葉の実家や空き家について、現状から売却を相談できます。建物の状態と道路・権利関係などを調べ、買取の可否や条件を検討します。解体しない方が必ず高く売れる、というお約束ではありません。

最初のLINEは、次の内容で構いません。

親から受け継いだ空き家を売りたいです。古いので解体するか迷っています。場所は○○市です。建物を残したまま買い取れるか、相談したいです。

解体の見積もりが既にあれば、その内容も比較の材料になります。まずは建物を残した場合の条件を確かめ、工事を頼むかどうかを考えましょう。

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